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日記です。
読み捨てて頂ければ幸い。
挙頭望山月
2015.08.23 (Sun) 23:00 | Category : 小話
ついでだから温泉にも入れてみたよ的な話。
美麗島の続きの台日です。短いです。
美麗島の続きの台日です。短いです。
*
二人が泊まったのは和風の旅館で、部屋は畳敷きで浴衣も用意されていた。温泉は内風呂と露天風呂があった。
「日本、温泉行こ!」
「ええ。そうですね」
「貸し切りだから一緒に入れるヨ!」
「えっ!?」
日本はギョッとした声を出した。
「一緒に・・・って。それはマズイと思うんですが・・・」
「ドウして?いいヨ、一緒に入ろうヨ?」
「だって、ほら、私も男ですし」
「デモ日本にも混浴あるヨ?」
「・・・」
日本は反論できなかった。
貸し切りにしたのは小さな個室風呂だった。半露天になっていて、景色が一望できる。
結局また彼女が日本を言いくるめる形で、彼を先に風呂に入れた。彼女は後から入って行った。
既に陽が沈んだ時間帯で、見えるはずの山景色は殆ど見えなかった。その代わり晴れた夜空にはまるい月が浮かんでいた。薄い雲が月明かりに照らされて流れてゆく。
日本は湯船に浸かって静かな景色を静かに眺めていた。彼女は体を流してから湯船に入り、日本の隣に腰を下ろした。日本はチラリと目を向けたが、目のやり場に困ったのか熱心に空を見上げた。
「ちゃんとタオル巻いてるヨ?」
「かと言ってジロジロ見れないでしょう?」
「見てもいいヨ?」
「・・・からかわないで下さい」
日本は照れたのか不機嫌な顔をして目を閉じた。
「ねえ、日本・・・昼間の答え、今聞いてもイイ?」
「・・・!・・・今、ですか?」
「ウン。今」
「・・・」
日本は困った顔をしていたが、再び月を見上げてこう呟いた。
「・・・月が綺麗ですね」
「えっ?」
「・・・私ははっきり言葉にするのは苦手ですから、これ以上のものは言えません」
日本はそう言った。心なしか顔が赤い。
彼女は日本の横顔を見つめていたが、やがて日本と同じ方向を向いて、彼の肩に寄り掛かった。
「うん。綺麗だネ」
こんなに月の綺麗な夜は他に無いと、彼女は思った。
*
日「その・・・台湾さん。できれば先に上がって貰えませんか?」
台「え?ドウして?」
日「お願いですから」
台「あー・・・。日本も男の子なんだネ」
日「・・・からかわないで下さい」
月が綺麗ですねって言いたかっただけです。
題は静夜思(李白)から一句拝借。読み下しは「頭を挙げて山月を望む」です。
あー、漢文の勉強しようかな~。
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