n - caramelizing
日記です。
読み捨てて頂ければ幸い。
儘ならない臨時講師の恋*
2017.03.05 (Sun) 22:58 | Category : 小話
同名小話の続きです。利土井です。えろ。
*
当初どうなるかと心配していた利吉の臨時講師ぶりは、約束の期間を半分も過ぎると安心して見ていられるようになった。一年は組に振り回され気味なのは変わらないが、慣れたのかあしらい方を覚えたようだった。睡眠も取れているようで目の下のくまも消えた。
利発な若者が後輩を鍛えている光景は学園長の心に響いたようで、本気か冗談か教師にならないかと利吉は学園長に口説かれていた。利吉は流石に断ったようだ。
利吉は一年は組の授業だけでなく、上級生の補修まで手伝っていた。上級生にもなると一年は組とは違ってやりやすいと、利吉は喜んで手を貸していた。
実習に行っていた六年生が戻って来ると、彼らは話を聞きつけて日替わりで利吉の下を訪れた。手合せと言う名の勝負を申し込む為である。利吉はその相手まで律儀にしていた。
傍から見ていた半助は、何も上級生の相手までしなくてもと思ったが、利吉は毎日一人ずつ六年生の相手をしていた。しかも利吉が負けたという話は聞かなかった。
臨時講師としての最後の夜、利吉は半助の前で居ずまいを正した。
「土井先生。短い間でしたが、ありがとうございました。勉強になりました」
「こちらこそ、助かったよ。ありがとう。もういつでも教師になれるな、利吉くん」
「からかわないでください」
利吉が照れて困った顔をした。
その隙に半助は利吉の前へと移動した。膝が触れ合う。半助は正座した利吉の膝に手を置き、身を乗り出した。
顔を近づけ、唇を重ねる。半助はやさしく口づけた。
「土井先生・・・」
「二人で過ごすのは今夜が最後だろう?」
半助は利吉を見つめた。
明日には山田伝蔵が出張から帰って来る事になっていた。
半助が利吉の手に触れる。顔を寄せ合ったまま唇を付けては離し、啄ばむように何度も口づけた。
半助が勢いに任せて詰め寄ると、利吉は半助の両肩を掴んで体を押し返した。
「土井先生・・・駄目です、ここでは」
半助は少し驚いた。利吉が何をしたがっているのかは知っているつもりだった。
利吉はむず痒そうに顔を顰めて言った。
「すみません。嬉しいのですが、自制できる気がしないので・・・。それに、明日もあります」
利吉の講師としての仕事は、明日の授業が最後だった。父・山田伝蔵の前で、利吉と生徒たちの良いところを見せるのが狙いだ。
「仕事が終わったら、有り難くいただきます」
利吉が真面目な顔で言う。半助は仕方なく利吉から離れた。
「わかったよ」
「・・・すみません」
「謝ることはないだろう?でもまあ、確かにここではね・・・」
部屋には二人きりだが、教員長屋なので壁の向こうは別の教員の部屋だ。滅多なことはできない。
「明日、忍術学園を出たら、峠の団子屋で待っててくれるかい?」
「はい」
利吉は頷いた。利吉の忍術学園での仕事が終わったら、誰にも邪魔されない二人きりの時間を作るという約束だった。
半助はにっこり笑うと、再び利吉に近づいた。
「じゃあこれは、明日利吉くんの授業が上手くいくおまじない」
半助は顔を近づけ、利吉に口づけた。利吉の顔が赤くなる。利吉は明日の為にもう寝ると言って、さっさと布団を敷いて寝てしまった。
半助は一人で笑いを堪えながら、利吉の布団の横に自分の布団を敷いた。利吉の方へ、いつもより布団を近づける。いつもより近くで、その日は眠った。
翌日の昼、山田伝蔵が出張から戻り、午後の利吉の授業を視察した。
生徒たちの良いところを見せて伝蔵を驚かせるつもりだったが、結果的にはいつもの一年は組の授業と変わりなかった。それでも伝蔵は利吉の講師ぶりには感心したようだった。
利吉は全ての仕事を終え、皆に惜しまれながら忍術学園を去った。利吉に挑みながらも一度も勝てなかった六年生は、悔しそうに見送っていた。
半助も生徒と一緒に利吉を見送ると、するべき事を済ませてから急いで利吉を追った。
利吉は約束した場所で待っていた。夕暮れ前の峠で、団子を頬張っていた。半助が団子屋に到着した所で、団子屋は店仕舞いを始めた。
二人は追い出されるようにして団子屋を後にした。すぐに暗くなり始める。
「町まで行きますか?」
「いや・・・こっち来て」
半助は利吉を連れて道を逸れ、山の中へ入って行った。木が茂り、辺りは一気に暗くなる。
街道から少し離れた所で半助は立ち止まり、利吉を引き寄せて口づけた。
「土井先生・・・まさか、ここで?」
利吉が戸惑い気味に訊ねた。
「駄目かい?町まで行ってると遅くなる」
「私は構いませんが・・・」
「私も構わないよ」
半助は利吉の唇を吸った。それをきっかけに、利吉が唇を押しつけ、貪るように口づけた。
半助の唇を割って利吉の舌が這入ってくる。半助は口づけの合間に息を継ぎながら、舌を絡め、深く口づけた。
利吉が半助の袴の腰紐を解き、褌を緩める。手間取っていたので半助が手を貸し、利吉の袴と褌も取り去った。
暗い梢の下で抱き合う。
利吉はせっかちだった。でも必至に半助を求めていた。
「う・・・りきち、くん」
「半助さん、ごめんなさい・・・痛いですか?」
「だいじょうぶ・・・」
半助は利吉の首に腕を回して抱きついた。全て利吉に任せると決めていた。
利吉の熱く立派なものが半助の体を貫くように突き込まれる。その度に半助は喘いだ。若い利吉が溜め込んでいたものが半助に向けて発散される。
「ひっ、あっ」
「半助さん・・・」
「んっ、利吉くん・・・」
半助が涙目になって見つめると、利吉は一層激しくなった。利吉の熱に浮かされて、痛みも苦しさも快感に押し流されてゆく。
「あっ、ああっ!」
「っ・・・!」
半助は利吉の腕の中で達した。利吉にしがみつく。利吉は利吉で、半助の中に何度目かの精を放った。
半助の中は利吉の精液でぐちゃぐちゃだった。利吉が半助の体から太い熱を引き抜くと、利吉が夢中になった分だけ精液がどろっと溢れ出た。
「半助さん・・・すみません、私ばかり・・・」
「構わないよ。君は若いんだし」
「半助さんとそんなに変わりませんよ」
利吉が不満そうに言う。半助は利吉と七つも歳が違うと思っていたが、利吉はそう思ってはいないらしい。
「じゃあ・・・私ももう一回」
半助は自分の股間に手を遣り、精を放ったばかりのそれを撫でた。
「駄目です、半助さん。私が」
利吉は半助の手を押し退けて、半助のそれを握った。すぐに熱がぶり返す。利吉はゆるゆると手を動かした。
「ん・・・利吉くん」
半助は興奮し、甘い息を吐いた。利吉が口づけをし、半助の吐息を吸い込む。
「半助さん」
利吉が体を近づける。腰を寄せ合うと、利吉は二人の股間の熱のをまとめて手に握った。利吉の方は既に硬くなっていた。
二本の熱が擦り合わされ、扱かれ、共に熱と興奮を増してゆく。半助と利吉は黙っていられず、何度も深く口づけた。半助も利吉に手を貸し、二人は舌を絡めながら、ほとんど同時に精を放った。
二人は終わっても手を放さず、唇も離さず、唇を啄ばみ合い、漸く口づけをやめたかと思うと、離れたくなくて抱きしめ合った。
「満足した?」
「半助さんは?」
二人は暗い中見つめ合った。濡れた瞳が僅かな星明かりで輝く。二人とももっと抱き合っていたかったが、何も言わずに体を離した。
乱れた衣服を整える。利吉は利発な若者に、半助は忍術学園の教師に戻った。
二人は山を出て街道へ戻る。
「では・・・私はこれで」
「うん。気をつけて」
二人はそれだけ言って暫く見つめ合った。お互い名残惜しく思いながら、利吉が先に背を向けた。
「利吉くん」
半助が呼び止める。別れる前にもう一度口づけた。
「またね」
「・・・ええ。また近いうちに」
でも二人とも動かなかった。見つめ合ったまま時間が過ぎる。半助は照れくさくなって笑った。
「・・・やっぱりもう少し先まで送ってくよ」
「・・・はい」
利吉の顔がほころぶ。半助は利吉の手を取ると、歩き出す前にもう一度口づけた。
PR
n-caramelizing
日記です。
節操なく色々好きです。で、飽きっぽい。
二次小説で腐った妄想たれ流してます。なんていうか、ごめんなさい。
Website nauwe
どうでもいいツイ垢 @sawaragomu
らくがきポイポイ用 ポイピク
委託通販 フロマージュ様
既刊情報
くるっぷ
グーグルフォーム作りました。
ご意見ご感想/連絡用フォーム
Wavebox
ブログ内検索