忍者ブログ

n - caramelizing

日記です。 読み捨てて頂ければ幸い。

留伊だけど伊作出て来ない

2017.06.02 (Fri) 20:32 Category : 小話

この前の記事(小話)の続き。
「お前の不運に付き合わされるのもお前の尻拭いも金輪際ごめんだ!」と伊作に言い放った留三郎は、自己嫌悪に陥って壁にガンガン頭突きを食らわせたので血まみれになりました…という設定。
伊作は出て来ない。

*

 医務室には三反田数馬と鶴町伏木蔵が居た。包帯を作って巻き取っていた所へ、額を血塗れにした食満留三郎が医務室に入って来た。
 しかも留三郎は機嫌が悪いらしく、その上血を流しているので恐ろしい顔をしていた。
 当然、三年生の数馬と一年生の伏木蔵は、医務室に入って来た留三郎の形相に驚いた。
「うわっ!?」
「ひえっ!?」
 しかし二人も保健委員、留三郎の額の怪我を見てすぐに立ち上がった。
「食満先輩!大丈夫ですか!?」
「し、し、止血しなきゃ!」
「伏木蔵!消毒液と布巾!」
「は、はいっ」
 伏木蔵が慌てながら道具を用意する。数馬は留三郎を座らせた。
「こちらへ、食満先輩」
 留三郎は黙って床に座った。
「・・・伊作は?」
「伊作先輩は今日は来ていません」
 数馬は、自分が手当てするより伊作の方が良いのかも知れないと思った。
「呼んで来ましょうか?」
「あ、いや。いいんだ」
 留三郎は頭巾を取って前髪を上げた。数馬が留三郎のすぐ前に膝をついて、怪我をした額を覗き込む。
 血はほとんど止まっているようで、数馬は血を拭って傷口を綺麗にし、消毒をしてから包帯を巻いた。
 伊作ほど上手くはできなかったが、数馬は包帯を巻き終えて満足した。
 留三郎が包帯の巻かれた頭に触って、数馬に礼を言った。
 その時、医務室の外の廊下を誰かが通った。忍たまが二人、話しながら歩いて来る。
「見間違いじゃない?」
 そう言ったのは斉藤タカ丸だった。
「でもアレは確かにタソガレドキの忍者でした。間違いないです。善法寺先輩も一緒に居ましたし」
 淡々とした口調で話すその声は、綾部喜八郎のものだった。
「用具倉庫の屋根で抱き合ってたように見えたのですが・・・」
「流石にそれは見間違いだよ〜」
「まあ、そうですね。流石にそれは」
 医務室の前で、二人の声が笑う。
 その時、食満留三郎が立ち上がり、医務室の障子戸を壊れんばかりの勢いでスパーンと開けた。
 丁度そこを通り掛かったタカ丸と喜八郎がビクッとして立ち止まる。そして医務室から現れた留三郎の形相を見て青ざめた。
「もう一度言ってみろ・・・」
 留三郎が低い声で呟いた。
「と、留三郎くん・・・」
「食満先輩」
 タカ丸と喜八郎は落ち着きを見せながらも、内心やってしまったと思っていた。
 留三郎の前でタソガレドキの忍者の話はするべきではないし、伊作と居たというのも言うべきではない。それも用具倉庫で、と言うのも駄目だ。
 完全に、完璧に、何もかも駄目だった。留三郎の耳に入れては駄目な話だ。
「誰が、何処にいて、何をしていたって?」
 留三郎が恐ろしい顔で聞いてくる。タカ丸にこっそり袖を引っぱられ、流石の喜八郎も空気を読んで黙っていた。しかし黙っているのも駄目だと気づき、口を開く。
「タソガレドキの忍組頭と思しき人が、用具倉庫の屋根で、その・・・居ました」
 喜八郎は肝心な部分を濁した。
 留三郎は喜八郎の襟を掴んで引きつけた。体格が違うので、喜八郎の爪先が床から浮きそうになる。
「はっきり言え」
 留三郎が睨みつける。
 タカ丸が横に来て留三郎を宥めた。
「留三郎くん!やめなよ!」
「綾部!言わんか!」
 留三郎がタカ丸を無視して喜八郎を問い詰める。喜八郎は襟を絞められて苦しそうに口を開いた。
「ぜ、善法寺先輩と・・・抱き合って・・・」
 留三郎は喜八郎を放り投げていた。タカ丸が慌てて喜八郎を抱きとめる。
 留三郎からは震えるほどの殺気が立ち上っていた。
「あんの曲者がぁ〜!ゆる、さん!!」
 留三郎が物凄い勢いで飛び出して行った。
 医務室では数馬と伏木蔵と抱き合って震えていたが、咽ている喜八郎の声を聞いて慌てて廊下に飛び出した。タカ丸と一緒になって喜八郎を介抱しながら、数馬は話に出て来た保健委員会委員長の事を心配していた。
PR
n-caramelizing

日記です。
節操なく色々好きです。で、飽きっぽい。
二次小説で腐った妄想たれ流してます。なんていうか、ごめんなさい。
Website nauwe
どうでもいいツイ垢 @sawaragomu
らくがきポイポイ用 ポイピク
委託通販 フロマージュ様
既刊情報
くるっぷ

グーグルフォーム作りました。
ご意見ご感想/連絡用フォーム

Wavebox
最新記事
(05/06)
(05/05)
(04/28)
(04/24)
(04/16)
ブログ内検索

Powered by [PR]

忍者ブログ