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日記です。 読み捨てて頂ければ幸い。

火影室へようこそ(仮)4

2017.08.11 (Fri) 01:20 Category : 小話

そろそろ絡んでゆくよ。

 遅くまでの残業が続いたある日、仕事終わりにカカシがイルカを食事に誘った。仕事終わりと言ってももう夕食どきはすっかり過ぎていて、開いている店は飲み屋ばかりだった。
 イルカは疲れていたが、喜んでカカシと飲み屋に入った。残業続きの毎日の労いと、明日こそは残業しないぞと誓いを込めて乾杯する。
 仕事中はできない他愛のない話を始めると、酒が入っていた事もあり楽しくなって、少しは疲れも忘れた。
「実はイルカ先生には謝らなきゃと思ってたんです」
 一杯目の酒を飲み終えて次の飲み物を待っている間に、カカシが改まって言った。
 イルカは何の話だろうと思って聞いていた。カカシに謝られるような事をされた覚えは無い。
「まさか火影の執務補佐がこんな大変だとは思ってなかったんです。毎日遅くまで残業させてしまって本当にすみません」
 カカシが頭を下げて謝った。もう酔っているのか、テーブルにごつんと額をぶつけた。
「な・・・やめてください、カカシさん!そんなの全然気にしてませんから!」
 イルカは慌ててカカシの頭を上げさせた。カカシが不安そうな目でイルカを見つめる。
「俺は前も手伝ってましたから大変な仕事だってことは知ってました。知ってて引き受けたんです。カカシさんが謝る事はありません」
 今はアカデミーと兼業でないだけ楽だった。そういう風にしてくれたカカシのお蔭だ。
「それに、残業はそんなに嫌じゃありません。カカシさんと働くの楽しいですし・・・こうやってご飯もご一緒できますし」
 イルカは照れながら言った。
 カカシは感激したように目を輝かせた。
「イルカ先生・・・!」
 カカシはテーブルの上でイルカの手を握った。
「ありがとう、イルカ先生。ほんと、イルカ先生を選んで良かった」
「カカシさん・・・大袈裟です」
「そんな事ないです。俺ほんとに感謝してるんですよ?イルカ先生よく働いてくれるし、気も利くし、イルカ先生のお陰で火影室の雰囲気もいいですし」
 カカシはイルカの手をぎゅっと握ったまま言った。
「はは・・・褒めたって何も出ませんよ」
「別におだてようって訳じゃありません。ただ、これからも俺を助けてください・・・イルカ先生」
 カカシが狭いテーブル越しに、イルカの手を引き寄せる。
「ずっと俺の側で、俺のことを・・・」
 その時店員が飲み物を持って来てテーブルに置いて行った。
 カカシは言葉途中のままイルカの手を放し、テーブルに届いたばかりのグラスを手に持った。
「じゃあこれからもよろしくお願いします。かんぱーい」
 カカシはイルカの手にもグラスを持たせて強引に乾杯した。カカシは何を思ったのか一気飲みしてグラスを干し、突然テーブルに突っ伏してしまった。
 イルカはカカシがかなり酔っていた事に、たった今気づいた。カカシが飲んだ酒は今ので二杯目だった。カカシがたかだか二杯でこんなに酔うとは、よほど疲れていたのだろう。
「カカシさん、大丈夫ですか?」
「ん〜〜だめ」
 カカシが気持ちよさそうな声で答える。悪酔いしている訳ではなさそうなのでイルカは少し安心した。
 とりあえず酒は打ち止めにして、少し落ち着いてからイルカはカカシを連れて店を出た。
 カカシは自分で歩く気が無く、イルカにべったり寄り掛かって来る。
「カカシさん、火影室まで送りますね」
「うん。ありがとぉ」
 カカシがイルカに抱きつく。イルカは少し困りながら、カカシを火影室へ連れて行った。
 部屋の手前まで行くと、それまで黙って寄り掛かっていたカカシが口を開いた。
「イルカせんせぇ、上の部屋まで連れてって」
 火影室の上の階は、火影が住めるようになっていた。カカシの家は他にあったが、火影室の上の部屋は寝泊まりするのに使っていた。自宅には殆ど帰っていないらしい。
 イルカは頼まれるまま火影室の前を素通りして、カカシを上の階へと連れて行った。鍵を渡され、指示されたドアを開けると寝室だった。
 カカシをベッドに寝かせる。
「カカシさん、大丈夫ですか?」
「うーん」
 カカシが半分寝ながら答える。イルカはカカシが寝てしまう前に水を飲ませて、衣服を緩めてやった。
「カカシさん、鍵どうします?」
「イルカ先生持ってって・・・鍵かけてって・・・」
 カカシがもごもごと言った。完全に酔っ払いの寝言だが、言っている事は尤もだし火影の指示でもある。部屋に鍵を掛けないで帰る訳にもいかないので、イルカは素直にカカシに従った。
「じゃあ、カカシさん。俺帰りますね。今日はありがとうございました」
 イルカがカカシの枕元に身を屈めて伝えると、カカシが急にイルカのの手を掴んだ。
「いかないで・・・イルカせんせ」
 カカシに手を引っ張られ、イルカは驚いてベッドに手を突いた。カカシの顔を覗き込む態勢になる。
「・・・カカシさん」
「そばにいて」
「・・・・・・」
 カカシはイルカの視線を絡め取るように見つめて来る。普段は見せない熱のこもった目で、イルカは目を逸らせなかった。ドキドキする。
 更にカカシに襟を掴まれて、イルカはカカシに顔を近づけた。余りの近さに思わず目を瞑る。
「あの・・・カカシさん」
「・・・・・・」
 カカシは何も答えなかった。今にも触れそうな距離にカカシの息遣いを感じているのに、いつまで待っても何も起こらない。
 イルカが不思議に思って目を開けると、カカシはもう寝入っていた。
 イルカは何かを期待していた自分が恥ずかしくなり、カカシを起こさないようにそっとベッドから離れた。
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