n - caramelizing
日記です。
読み捨てて頂ければ幸い。
火影室へようこそ(仮)7
2017.10.01 (Sun) 19:52 | Category : 小話
一先ずこれでお終い。
て…手直ししたらサイトに出します…。(それっていつの話だ)
て…手直ししたらサイトに出します…。(それっていつの話だ)
*
翌日から、二人の関係は変わった。ベタベタしたりイチャイチャしたりはしなかったが、黙って絡み合うような視線を交わすことが多くなった。二人だけの世界が生じる瞬間がままあった。
でもシカマルや周囲からは、喧嘩していたのが仲直りした、くらいにしか思われていなかった。本人らは知らなかったが、元から仲がいいと思われていたのだ。
とにかく、一時は気まずいほどだった火影室の雰囲気は、また良くなった。それについては良いことだと皆思っていた。
「イルカ先生。この書類、アカデミーへ持って行ってくれる?」
「はい」
カカシが火影室に入って来たイルカに、アカデミーまでの遣いを頼んだ。
「それから、後で行くって副校長に伝えといて」
カカシは少しの時間も惜しいのか手元の書類に目を向けながらイルカに言った。
「アカデミーへ行かれるんですか?」
イルカは自然と笑顔になった。アカデミー教師としては、火影が視察に来てくれるのは嬉しい事だった。教師もやる気が出るし、生徒らも喜ぶ。
カカシは書類から顔を上げて、喜ぶイルカの顔に目を向けた。
「嬉しそうだね」
「勿論嬉しいです。生徒も喜びます。・・・いいなあ、俺も授業したい」
イルカは思わず呟いた。カカシの視線を感じて、ハッと顔を向ける。
「あっ・・・その、今の仕事が嫌とかじゃないですよ!」
イルカが慌てて言い訳すると、カカシは穏やかに笑った。
「ふふ。俺も視察するならイルカ先生の授業がいいな」
「・・・!!」
イルカはそうカカシの言葉を聞いて、顔を赤くした。
お互いに見つめ合い、熱のこもった視線を絡ませる時間が続く。
先に目を逸らしたのはイルカだった。照れ臭かったのだ。
「あ、アカデミーへ行って来ます。あの・・・少し向こうの仕事を手伝って来てもいいですか?」
「うん。いいよ、イルカ先生」
「ありがとうございます」
イルカは頭を下げると、少しだけカカシを見つめてから火影室を後にした。
うきうきとした気分でアカデミーへ向かう。
火影から頼まれた用を済ませて、職員室に顔を出した。職場の皆とは半月前のサバイバル演習で顔を合わせたばかりだが、イルカの来訪を喜んでくれた。
すると仲のいい同僚が飛んで来てイルカをどついた。
「イールーカー!おまえこの間の打ち上げすっぽかしたろう!みんな待ってたんだぞ」
「わ、悪い・・・あの時はちょっと・・・向こうの仕事が終わらなくて・・・。今日はこっち手伝いに来たんだ」
イルカが同僚の機嫌をとるように笑顔を作ると、同僚はむぐぐと葛藤した後で表情を緩めた。
「じゃあこの後、俺のクラス実技、手伝って貰うからな」
「ああ」
すると周囲からも「うちのクラスもー!」「その後ウチな!」と声が掛かる。
イルカは苦笑しながら請け合った。アカデミーの手伝いは少しだけと思っていたが、これは長くなりそうだった。
カカシにはそこまで許可を貰っていないが、まあいいかとイルカは思った。後でカカシもアカデミーへ来ると言うし、少しくらい大目に見て貰えるだろう。
「あ、今日火影様が授業見に来るって」
イルカが思い出したように言うと、途端に職員室が騒がしくなった。
「それを先に言ってよ!!授業の準備しなくちゃっ」
「ああ、どうしよう・・・!とりあえずお化粧直して来る!」
どうしたものか特に女性がバタバタし始める。男性職員は流石に慌てなかったが、気が気でないのは顔に出ていた。
「えっと・・・火影様はいつ来るか分からないし、いつも通りで大丈夫だと思うよ・・・?」
イルカは職員室の皆に言ったが、誰も聞いていなかった。
結局イルカは、その日一日アカデミーの授業を手伝った。
火影は午後の授業を視察に来た。イルカが手伝っていたクラスではなく、他のクラスを見ていたようだ。
授業が終わり、イルカは同僚と並んで職員室へ戻る所だった。
「今日はありがとうな。助かった。これからまた火影室へ行くのか?」
同僚が廊下を歩きながら言った。イルカがそのつもりだと答えると、同僚は同情的な目を向けた。
「大変だなあ、毎回毎回」
同僚がそう言ったのは、イルカは三代目火影の時も、五代目火影の時も、今と同じ執務補佐の仕事をしていたからだ。そして六代目火影の今も。
「ほんと損な奴。お前お人好しだから色々頼まれるんだぞ」
「あっ、そーゆー事言うともう手伝ってやんないからな」
イルカは同僚を睨みつけたが、同僚の慌てた顔を見てすぐに可笑しくなって笑った。
「冗談だよ。まぁ損だとは・・・たまに思うけど。でも火影に言われたら断れないよ」
五代目火影の時は、本当の事を言えば、断りたくても断れなかった。強引に押し切られて手伝う事になった。
六代目火影――カカシに関して言えば、断りたくなかった。本当に嬉しかったし、カカシと一緒に働きたかった。断ってしまえば代わりに他の人の所へ話が行くのだと思うと、無理をしてでも話を受けたかった。
「まぁ、そりゃ火影に命令されたら断れないけど・・・」
そう言った同僚が不意に立ち止まった。心なしか顔が青い。
「どうした?」
同僚の視線を追ってイルカが顔を向けると、すぐそこに六代目火影が立っていた。
「六代目!」
イルカはなんとなく嬉しくなってパッと笑顔になった。カカシはマスクをしているので表情は分からない。
「お疲れさま。イルカ、もう終わったんなら一緒に来て」
「はい」
イルカは同僚に一言断ってから、カカシに付いてアカデミーを後にした。
「授業は見られたんですか?」
「うん。まぁ」
「どうでした?」
「うん」
カカシはぼんやりと返事をするだけで、はっきり答えない。
「カカシさん?」
それ以降カカシは黙ってしまった。どうかしたのだろうか。
イルカは心配しながらカカシの後を歩いた。火影室にはすぐに着いた。
すかさずイルカが前に出て、火影室の扉を開ける。カカシは黙ったまま部屋に入った。
イルカも火影室に入り、静かに扉を閉めた。部屋には二人しか居ない。
「あの・・・カカシさん?どうかしたんですか?」
カカシは部屋の真ん中でイルカを振り返ると、暗い声で静かに言った。
「火影に言われると断れない?」
「えっ?」
それはさっき同僚との会話の中でイルカが言った言葉だった。カカシに聞かれていたらしい。
カカシが黒い目でイルカを見つめる。
「俺に迫られて拒まなかったのも同じ理由ですか?」
イルカは何のことを言われたのか一瞬分からなかった。しかしすぐに、キスをしたことやベッドで戯れたことが頭に浮かんだ。途端に顔が熱くなる。
「・・・!!あれは!そんなんじゃ・・・!」
カカシはイルカの言葉など聞かずに溜息を吐いた。
「期待して浮かれて、馬鹿みたいじゃないですか」
「カカシさん、俺は・・・」
「イルカ先生、いいんです。わかってます。それが普通ですよね。火影命令って言えば聞いてもらえるし、大概の事は火影の名前をかざせば力技でどうにかなりますよ」
カカシは冷たく言ってイルカからから顔を背けた。悲しそうに目を伏せる。
イルカは咄嗟にカカシに近寄ろうとしたが、一歩足を踏み出して思い留まった。拒まれるのが怖かったのだ。
「・・・俺が拒まなかったのは、カカシさんの事が好きだったからです」
「・・・!」
「嫌なら嫌って言います。カカシさんの仕事を手伝っているのも、遅くまでここで残業してるのも・・・寝室まで行ったのも・・・俺がそうしたかったからです。カカシさんと居たかったから・・・」
カカシが顔を向けて、何か言いたそうにイルカを見つめた。
イルカは一旦口を閉じ、カカシを見つめて口を開いた。心臓が口から飛び出しそうだ。
「好きです・・・カカシさん」
言ってから、イルカは恥ずかしくなって視線を逸らした。イルカが目を逸らしても、カカシの視線はイルカに向けられていた。
カカシの視線に責められているような気になって、イルカは弁明した。
「同僚には、ああ言うしか無いじゃないですか。好きだから断りたくなかったなんて、本当のこと言う訳にもいかないですから」
イルカが恐る恐る目を向けると、カカシが目の前に迫っていた。カカシの腕に抱きしめられる。
カカシはイルカの頬にキスをするように、顔を擦りつけた。すぐ耳元にカカシの息遣いを感じて、イルカは頭が真っ白になった。
カカシはイルカの腰に腕を回し、わざとらしく抱き寄せた。互いの腰が押し付けられる。
「・・・っ、カカシさん」
「もう一回言って」
「・・・好きです・・・カカシさん」
イルカが言い終わるや否や、カカシは素顔を隠すマスクを外してイルカの唇に口づけた。カカシの柔らかい唇がイルカの唇を食んで、舐めて、イルカの舌を誘い出す。
イルカが堪らず口を開くと、カカシの艶めかしい舌が口の中に這入り込んで来た。
「あっ・・・カカシさん・・・」
「イルカ先生・・・」
二人は夢中でキスをした。生温かい舌を絡め合い、求め合う。熱い吐息が交ざり合ってゆく。
そのキスの応酬に呼吸が苦しくなって、イルカは縋るようにカカシの服を掴んだ。
カカシは唇を離すと、意外そうにイルカの顔を覗き込んだ。
「嫌がらないの?」
「嫌じゃないですから」
「ここでしちゃうよ?」
「・・・少しだけなら」
イルカはそう囁いて、カカシの唇に軽く口づけた。カカシに強く抱きしめられる。
「っ・・・カカシさん」
カカシがイルカの耳に口づけたその時。
火影室の扉が叩かれた。
二人は抱き合ったまま一瞬止まり、顔を見合わせて静かに笑い出した。
カカシはすぐにイルカから離れ、マスクで口元を隠した。
火影室の扉が開いて、若い中忍が部屋に入らず用件だけ告げた。
「火影様、会議の時間です」
「ありがと、すぐ行く」
中忍はそれだけ知らせに来たのか、すぐに行ってしまった。
カカシはイルカの方を振り向くと、申し訳なさそうに眉を顰めた。
「ごめん、イルカ先生。行かなきゃ」
「はい。・・・いってらっしゃい」
イルカが苦笑するように微笑むと、カカシの腕がイルカの腰を抱き寄せた。
唇が触れ合う。
お互いに舌を差し出して、少しばかり長くキスをした。
「後で続きできる?」
「はい」
イルカが答えるとカカシは微笑んで、もう一度口づけをした。
*
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