n - caramelizing
日記です。
読み捨てて頂ければ幸い。
かわいいから作っちゃいました!
2020.01.20 (Mon) 00:21 | Category : 小話
とりあえず書きました。後で直します。
例のデフォルメフィギュアを改造する話。
例のデフォルメフィギュアを改造する話。
*
「これで協議を終了します。皆様、お疲れ様でした」
司会進行を務めていた連合のスタッフが締めくくると、顔を突き合わせていた五影はそれぞれ席を立った。みな補佐役を引き連れて部屋を去ってゆく。
火影であるカカシに付き添っていたシカマルは、連合のスタッフと打ち合わせがあるとかで火影を置いて先に行ってしまった。
カカシは卓を挟んで斜め向かいに居た青年に声を掛けた。
「あ。ちょっと、カンクロウくん」
呼び止められて、彼は怪訝そうに振り向いた。それはそうだろう。そんな親しくもないのに君付けで呼ばれたら、カカシも若い頃なら何だこいつと思ったに違いない。しかしこの馴れ馴れしい感じが、そこそこ歳のいった大人の態度なのだと最近は思う。
「なんでしょう、火影殿。風影にご用でも?」
彼は風影への取次ぎを頼まれると思ったのかそう言った。
「違う違う。君に用があるんだ」
「はあ」
カンクロウが不思議そうな顔をする。警戒している若者に向かって、カカシはニコリと笑ってみせた。
「腕のいい傀儡師に相談があってね」
人の居なくなった部屋に残って、火影のカカシと風影補佐のカンクロウは向かい合った。適度に距離を保っている。
「相談とは?」
「これにカラクリを仕込めるかな? 動くようにしたいんだ」
カカシは懐から小さなフィギュアを取り出した。手の平にすっぽり隠れてしまうくらいのオモチャの人形だ。
「これに……? ムリです」
カンクロウはすぐにそう答えた。人形を見ただけで触りもしない。
「小さすぎて?」
だよなあ、とカカシは一人で納得しかけたが、カンクロウは「いや」と否定した。
「カラクリを仕込むって事は人形を動かすって事だろう? これには動く為の関節が無い。だから動かない」
「なるほど」
彼の簡潔な説明にカカシは頷いた。
「関節があればこのサイズでも可能なのかな?」
「まあ……武器を仕込むとかでなく、本当に動くだけなら」
カンクロウはカカシの手にある人形をじっと見つめながら答えた。頭の中でカラクリを仕込む勘定をしているのだろうか。
「頭だけ残してすげ替えるのは?」
「可能だ」
カカシは間髪入れずに頭を下げた。
「お願いします!」
「は!?」
カンクロウが驚いて半歩退がる。
「これにカラクリを仕込んで欲しい。できれば勝手に動くように」
カカシは素早くカンクロウに詰め寄って、小さな人形を相手の手に握らせた。カンクロウは逃げられなかったようで、やや悔しそうな表情を口の端に一瞬浮かべた。
「……なぜ?」
カンクロウが探るようにカカシを睨む。なかなかに鋭い眼光で、カカシは感心した。いい忍びだと思った。
しかし、カカシはカンクロウの視線を受け流してへらっと笑った。
「いやあ、動いたら可愛いだろう?」
「あんた……ばかなのか?」
そこへ風影が姿を見せた。カンクロウが来ないから戻って来たようだ。風影は、火影と自分の兄を見て微かに顔を顰めた。
「なにをしている?」
カンクロウが振り向いて、少し気まずそうな顔をした。手にはオモチャの人形を持っている。
「我愛羅……」
「我が里の参謀に何か用でも? それとも我が兄が何か無礼でも……火影殿?」
風影は穏やかではあるが隙の無い声で訊ねた。カカシは笑ってみせた。
「やあ、風影殿。実は腕のいい傀儡師である兄上殿に頼みがあってね」
そうしてカカシは風影にも同じ事を話した。風影は興味深そうに、カンクロウが持っている人形を見ていた。
「もちろん相応の礼はさせてもらう。頼まれてはくれないだろうか?」
カカシはもう一度頼み込んだ。カンクロウは答えない。
すると隣に居た風影が口を開いた。
「いいじゃないか、カンクロウ」
「はあ!?」
驚いたのはカンクロウの方だった。カカシも風影が口添えしてくれるとは流石に思っていなかった。
「他でもない火影殿の頼みだ。爆弾を作ろうって話ではないようだし、人形の一つや二ついいだろう。かわいいじゃないか」
「かわ……」
カンクロウが絶句している。
「これが動くんだろう? はは、楽しみだな」
「ちょ……」
カンクロウは断りたかったようだが、風影がいいと言ってしまった以上断れなくなってしまったようだった。最早カンクロウの返事を聞く前に話が進んでいる。
カンクロウはもうどうにでもなれとばかりに溜息をついた。
風影はオモチャの人形が気に入ったのか、手に取ってしげしげと見ている。実はその人形、カカシをモデルにして作られていた。デフォルメされているが、なかなかよく出来ている。
「よければ風影殿にもこの人形を作って送りましょう」
カカシは上機嫌になって申し出た。すると風影が幼子のようなキラキラした目を向けたのでカカシは吃驚してしまった。
カンクロウが渋い顔をしている。
「うちの風影に変な物与えないでくれよ」
「なんなら君たち姉弟の分作って送るよ?」
人形も一体では寂しかろう。かく言うカカシも、人形は二体作って貰っていた。
イラネーとカンクロウは言いかけたが、風影の声の方が早かった。
「それはいいな。楽しそうだ」
風影はご機嫌だった。カンクロウは何か言うのを諦めたようだ。
カカシはちょっと悪かったかなと思いつつも、改めてカンクロウに依頼の詳細を伝えた。
*
ある日イルカが家へ帰ると、昨日まで棚の上に飾ってあったはずの人形が無くなっていた。飾りっぱなしで特に気にしていなかった為、今朝もあったかは思い出せない。
人形はカカシの物で、何でも任務のお礼に作って貰ったものらしい。二体あって、デフォルメはされていたが、それぞれカカシとイルカによく似ていた。
カカシはその人形を火影室の自分の机に飾っていたので、イルカが先日取り上げて家へ持って帰って来たのだった。
取り上げた理由はただ一つである。余りにもカカシとイルカに似ていたからだった。どんなにデフォルメされていても、それがはたけカカシとうみのイルカだと分かってしまうほど、その人形はよく出来ていた。
そんな物を火影室に飾っておく訳にはいかない。目にした者はそれが二人だと絶対に気づく。
今更隠したところで二人の関係は周囲には知れ渡っていたが、だからと言っておおっぴらに堂々とできる訳もなく、二人に似たかわいい人形を火影室に並べて飾るという愚行はイルカには受け入れられなかった。
だからカカシから人形を取り上げて自宅に飾っていたのだが、その人形がいつの間にか消えていた。今朝はカカシが居たので、もしかしたらカカシが持って行ったのかも知れない。きっと自分の部屋に飾りたくて持って帰ったのだろう。
後日カカシに訊ねたら、持って行ったということだった。黙って持って行ってゴメンと謝られたが、元からカカシの物であるし、火影室にさえ飾らなければイルカとしては好きにしてくれと思っていた。
ひと月以上経って、そんな人形の事も忘れかけていた頃、イルカは火影室へと呼び出された。別に仕事上の事で呼ばれた訳ではなく、時間があったら後で来てと言われていた。つまり個人的な事で呼ばれたのだろう。付き合って随分経つが、そうやって呼び出されるとなんだかドキドキしてしまう。
イルカはその日の仕事を終えてから、心なしかうきうきしながら火影室へと向かった。
はやる気持ちを抑えながら落ち着いて火影室の扉を叩き、カカシの返事を待って部屋に入る。
「お疲れさまです、カカシさん」
すると部屋に入ってすぐ、カカシの声が飛んで来た。
「イルカ先生っ、気をつけて!」
「えっ?」
声の後から何かが飛んで来て、イルカの耳の横を掠めて行った。ヒュンと風を切る音がした。
ヒュン、ヒュンと部屋を何かが飛び回っている。
「な、なんですか?」
目を凝らしても何が飛んでいるのか確認できなかった。動きが早すぎる。何か小動物のようだ。
目視はできなくても風切り音は聞こえるし気配も分かる。イルカは様子を窺うとタイミングを見計らって腕を振り上げた。
「えい!」
手に何かを掴む。イルカは飛び回っていた何かをうまく捕まえられて、思わず嬉しくなった。が、捕まえたものを見て固まった。
「えっ?」
イルカが捕まえたのは、カカシによく似た小さな人形だった。うまくデフォルメされた、頭でっかちのあの人形である。その人形の目がぐるりと動いて、イルカの方を見上げた。
「わっ!?」
イルカは驚いて咄嗟に人形を手放した。人形はくるりと回転して床に着地した。イルカは恐る恐る屈み込んで、動く人形を観察した。
「に……人形? カカシさんが動かしてるんですか?」
「いや。自動で動くように改造して貰ったんです」
「は?」
イルカは思わず顔を顰めた。カカシはごまかすように笑っている。
「動いたらかわいいかなって……」
それも風影の兄君にわざわざ頼んだと聞いて、イルカは呆れてしまった。よく断られなかったもの
だと、感心というかやっぱり呆れた。
「かわいくないですか?」
「かわいいですけど」
イルカはもう一度人形に目を向けた。元々かわいい人形が動いているんだから、かわいいに決まっている。
イルカが指を出すと、カカシに似た人形は少し照れたように手を出してイルカの指に触れた。イルカは小動物でも相手にしているような気になって、指先で人形をやさしく撫でてやった。
人形は撫でられるのが気に入ったのか、警戒心もなくイルカの手に懐いている。
「ふふ。かわいい」
イルカが人形に構っていると、それを見てカカシが満足そうに笑った。
「よかった。気に入ってくれると思ったんですよ。実はもう一体あります」
書斎机に居たカカシが自慢げに言った。机の上の物陰から、恐る恐るもう一体の人形が姿を見せた。どことなくイルカに似た、顔に傷のある人形だった。
彼が姿を見せた途端、イルカの手に懐いていた人形がパッと身を翻して彼の方へ行ってしまった。イルカに似た人形は、また物陰へと隠れてしまった。
イルカが書斎机の前まで行くと、机の上では二体の人形が追いかけっこを繰り広げていた。机の上には書類やら何やら出ていて、小さな二人には障害物競争でもしているようにそれらを避けてとことこ駆け回っていた。
「これ、どうやって動いてるんです? 操ってる訳ではないんですよね?」
「動力は俺のチャクラです。人形の核に仕掛けがあって、行動原理はそれに左右されるようです。俺の人形には俺の血が仕込んであります」
つまりカカシ似の人形は、カカシと似た行動をするということだろう。
「こっちの人形は?」
イルカはもう一方の人形——イルカに似ている人形を指差した。
「そっちの人形にも、もちろん仕込んでありますよ。イルカ先生の体液……」
イルカは手を伸ばしてカカシの鼻を思い切りつまんだ。
「勝手にナニ仕込んでるんですか! いつの間に、そんなの!」
「いつってこの間……」
「いいです、言わなくて!」
イルカは大きな声でカカシの声を遮ってから、カカシの鼻から手を放した。痛かったのか、カカシが鼻をさすっている。
つまりイルカ似の人形も、イルカと似た行動をとるのだろう。見た目は大分かわいいが、この小さな人形は二人の分身とも言えた。
机の上では、カカシ似の人形が、イルカ似の人形を追いかけ回している。
「仲が悪いみたいなんですよね……さっきからずっとこうで」
カカシが机の上の追いかけっこを見ながら困ったように言った。
「カカシさんにはそう見えます?」
「え?」
カカシは驚いたように目を丸くした。イルカはカカシの表情を見て笑った。
「ふふ。カカシさん、俺のこと全然分かってないですね?」
イルカが言うと、カカシは目をぱちくりさせた。そんなこと言われるとは思ってもなかったのだろう。
でもこの人形の行動原理がカカシとイルカを基にしているのなら、そういうことだろう。
イルカは机の周辺を見回すと、窓際の隅に置かれていた段ボール箱に目をつけた。肩幅くらいの大きさで、中には忍犬のおやつ等が入っている。それを全て外に出し空箱にして、書斎机へ持って行った。
机の上では相変わらず人形が追いかけっこをしていたが、空箱を持って戻って来たイルカを見て人形たちは急に立ち止まった。イルカを見上げて後ずさる。
イルカは机の上で彼らを追い詰めて、人形の頭上に素早く空箱を被せた。箱の中でばたばた音がしていたが、すぐに静かになった。
箱の中でどうなっているのかは、見ることができない。でもあの人形が二人の分身なら、イルカはなんとなく想像がついた。
カカシは机の上に伏せて置かれた段ボール箱を見つめて、なるほどと呟いた。
「イルカ先生、人の目とか気にしますもんね」
カカシはイルカの横に来て、さりげなく腰に手を回した。抱き寄せながら顔を近づける。
イルカはキスされる前に、カカシの唇を手で遮った。
「ダメです、ここじゃ……」
カカシはキスは諦めて、イルカを両腕で抱きしめた。耳元でカカシが囁く。
「じゃあ、上の部屋へ行きましょ?」
「カカシさん……」
はい、とイルカが頷くと、二人はその場で唇を触れ合わせた。早くベッドへ行って続きがしたくなった。
「カカシさん。人形はどうするんですか?」
「そのままにしておきましょう。お互い邪魔されたくないでしょ?」
「そうですね」
二人は声を潜めて笑って、静かに部屋を後にした。
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節操なく色々好きです。で、飽きっぽい。
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