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日記です。 読み捨てて頂ければ幸い。

いつでも肩もみします

2020.10.24 (Sat) 12:32 Category : 小話

肩を揉んでくれる先生の話。前に出した話の続きです。シブに出すのにタイトル変えました。

*

 カカシはすっかり社交辞令だと思っていたのだが、その後もイルカは度々カカシの肩を揉んだ。
 火影室に仕事が積み上がってたり、カカシが疲れた顔をしていると、イルカから「肩を揉みましょうか」と申し出てくれた。つまり、イルカが火影室に来た時は大体いつも、そういうことになった。
 カカシは驚き、嬉しさもあったが、自分はそんなに疲れた顔をしていたのかと情けなく思うこともあった。でも声を掛けて貰えるのは嬉しかった。何よりイルカの温かい手に触れられるのが心地よかった。
 何度か肩もみをお願いしているうちに世間話をするようになり、お互いのことも話題にするようになった。以前は会話をしてもナルトのことばかりだったのに、不思議なものだ。
「今日は凝ってますねえ」
 イルカがカカシの肩を揉みながら言った。適度に力を込めている。
「昨日からずっと書類仕事で……」
 カカシは昨日から一向に減らない書類の山を見ながらぼやいた。目の前にあるので嫌でも目に入る。仕方ながないので目を閉じて、暫しイルカの肩もみを堪能した。気持ちよくて寝そうになる。
 ところが、イルカは突然カカシの肩から手を離した。
 カカシが閉じていた目を開けると、火影室にシカマルが入って来る所だった。何か仕事が増えるようだ。
 シカマルは適当に入室の挨拶をして、カカシよりイルカに目を向けた。
「あっ、イルカ先生! ちょうどいい所に! ちょっと手伝ってってくださいよ」
 これ明日の会議の資料です、とシカマルはついでのように書類を置いて行った。隣の事務室で何か作業をしているようで、シカマルはさっさと火影室を出て行った。
 イルカはくすくす笑っていた。
「俺、手伝って来ますね」
「断ってもいいんですよ。シカマルは自分の仕事減らしたいだけだろうし。イルカ先生も仕事あるでしょ」
 自分もイルカに肩もみをさせておいて、カカシはそう言った。出来ればもう少しイルカと居たかったのだ……まったく偉そうなことは言えない。
「俺、今日はもう仕事無いので大丈夫です。シカマルがちゃんとやってるか見て来ます」
 イルカは笑いながらカカシの側から離れた。
「また後で来ますね」
 イルカはそう言って火影室を出て行った。すぐ隣の事務室が騒がしくなる。
 また後で、とイルカは言った。カカシは急にやる気が出て来て、改めて書類の山と向き合った。

  *

 イルカがシカマルを手伝ってから、再び火影室へ顔を出したのは二時間後だった。手伝いだからすぐに終わると思っていたのだが、すっかり肩入れしてしまいいつの間にか時間が経っていた。シカマルや事務員には感謝された。イルカが居なかったら残業確定だったからだろう。
 イルカが事務室を出て隣の火影室へ行くと、カカシは書斎机に向かっていた。積んであった書類の山が少し低くなっている。
「お疲れさまです、カカシさん」
「イルカ先生! ……まさか今まで手伝ってたの?」
 カカシは時計に目を遣って少し呆れていた。イルカは苦笑した。
「すみません。こっちの仕事、手伝ってもらって」
「いえ。大したことは何も」
 でも流石にちょっと疲れたなと思い、首の後ろを掴んで軽く揉んだ。ほとんど無意識の行動だったが、カカシは目聡かった。
「イルカ先生、疲れたでしょう。肩、揉みましょうか?」
 カカシがそんな事を言ったのでイルカは驚いた。いつもはイルカが口にしている台詞だった。
「えっ!? いえいえ! まさか、火影様にそんなことは!」
「いいですって。いつもやってもらってるし。お返しです」
 カカシが椅子から立ち上がる。
 イルカは遠慮したが、カカシに強く言われて仕方なく書斎机に近づいた。椅子に座れと言われるが流石に火影の椅子に座る訳にもいかず、側の袖机の上を簡単に片づけてそこへ軽く腰掛けた。
 カカシは背後に立って、イルカの肩に手を置いた。イルカの両肩を軽く掴んでから、一度手を離す。
「ベスト脱いで」
「……」
 イルカは少し躊躇いながらグリーンベストを脱いだ。もう一度カカシの手がイルカの両肩に乗る。カカシの手はいつも少し冷たくて、イルカは自分の体温がやたら高く感じられた。体温の差が少し恥ずかしい。
 カカシの手が動いて、イルカの肩を包むようにマッサージしてゆく。
 気持ちよかった。
(でも……なんか……)
 イルカはカカシに肩を揉まれながら赤くなった。何故か、なんとなく、カカシの手がいやらしく感じられたからだ。
 カカシはごく普通に肩を揉んでいるだけだった。別に変な触り方をしている訳でもない。それなのに、イルカはそわそわしてしまった。変な気になってくる。
 カカシの手がイルカの首の後ろをに触れ、イルカは反射的に肩を竦めて体を前に出した。袖机から腰を上げ、カカシから離れる。すぐに体の向きを変えた。
「イルカ先生? ごめん、痛かった?」
「す、すみません! くすぐったくて!」
「えっ。すみません。あんまりやったことないから、勝手が分からなくて。イルカ先生の真似してみたんですけど」
 イルカはそれを聞いてますます赤くなった。まさか自分もあんないやらしい触り方をしていたのかと思ったのだ。そんなつもりは無かった。無かったと思う。でも、次からは分からないとも思った。意識してしまいそうだ。
「あの、でも、気持ちよかったです。ありがとうございました」
「ほんと? よかった。またいつでもどうぞ」
 カカシは褒められた生徒みたいに笑った。表情はマスクの所為で目元しか見えなかったが、近頃は彼の表情の変化がよく分かった。それだけよく見ているからだろう。
 イルカは恥ずかしくなってカカシから目を逸らした。
「俺、もう行きますね。仕事の邪魔をしてすみませんでした」
「あ、イルカ先生……」
 イルカはカカシの声も聞かずに、逃げるように火影室を後にした。人に呼び止められないうちにその場を去る。
 イルカはもう一度カカシの肩を揉むつもりだったし、仕事が終わったら食事に誘おうとも思っていたのだが、そんなことは頭から吹っ飛んでいた。
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