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日記です。 読み捨てて頂ければ幸い。

イルカ先生に構ってもらう会(翌朝)

2021.01.12 (Tue) 12:33 Category : 小話

構ってもらう会の続きです。
新年からずっと剣盾のことしか日記に書いてなくて、流石に小話だけはカカイルから出さなきゃダメだろと思いました…
思いましたが年末から書いてたのに上手くいかずw 前にもこんなの書いたし…気にしないけど。
とりあえず出します。明日にはサイトに移します。



*

「う……うう……」
 イルカは自分の呻き声で目が覚めた。
 静かな部屋の天井を見ながら、最前までの出来事が夢だったと分かり、ほっとする。布団が暑かったのか汗をかいていた。昨夜は夜更かしして疲れていたし、きっとその所為でうなされたのだろう。
 目が覚めて考えてみるとおかしな夢で、倍化の術を使う忍犬に圧し潰される夢だった。
「変な夢」
 体に残る夢の感覚を払拭するように、イルカはゆっくり息を吐いた。でも、体はやけに重かった。夢の中で巨大な忍犬に圧し潰されたように、体に何か重しが乗っているような……。
 ような、ではなく実際に何か乗っていた。
 イルカが頭を起こして見てみると、胸の上、腹の上、足の上にカカシの忍犬があっちこっちを向いて寝そべっていた。みな気持ちよさそうに眠っている。
 なるほど、これはうなされるはずだとイルカは思った。重い。
「……ん?」
 イルカは少し引っかかるめのがあり、目を閉じて考えた。昨夜の記憶を手繰り寄せる。
 でも幾ら考えても、昨夜の記憶と目の前の状況が繋がらない。
 昨夜は、この狭いベッドでカカシと寝たはずだった。狭いから、忍犬とは一緒に寝ていない。昨夜はカカシと二人きりだった。
 しかし今は忍犬がベッドで寝ているし、カカシは隣に居なかった。
 おかしい。絶対にカカシと一瞬に居たはずなのに。昨夜だって、飽きるほど求め合ったはずなのに。
 それも夢だったというのだろうか。欲求不満のあまり見た夢?
 イルカが何とか体を起こすと、胸に乗っていた忍犬はイルカの体から転がり落ちた。起きるかと思いきや、転がった先ですやすや寝ている。
 ベッドはほぼ忍犬に占領されていた。カカシの忍犬が八頭揃っている。
「イルカ先生、おはよう」
 声を掛けられて顔を向けると、カカシは床に座ってベッドに寄り掛かっていた。
「カカシさん。おはようございます……なんでそんな所に」
「そいつらに寝る場所取られちゃって」
 カカシは苦笑しなから答えた。床から腰を上げてベッドに座り、イルカを抱き寄せる。
 イルカはカカシの腕の中でほっとした。
「起きたらカカシさんが居ないから、昨夜のこと夢かと思いました」
「ふふ……夢? あれが?」
 カカシはどこか人の悪い笑みを見せると、イルカの首元に触れた。寝間着の襟を広げながら、イルカの素肌を撫でる。そこには昨夜カカシがつけた痕が赤く残っていた。
「足りなかったら、もっとつけてあげようか?」
 カカシの手がシャツの裾から這入って来てイルカの腹を撫でた。指先が臍の下へ伸びる。
「だっ、大丈夫です、今はっ!」
「じゃ、あとで?」
「う……」
 黙ってしまったイルカを、カカシがさも楽しそうにぎゅうっと抱きしめた。近づいた顔を更に近づけて、唇を触れ合わせる。
 イルカの脚はまだ温かいベッドの中で、それが昨夜の熱を思い出させた。カカシがわざとらしくイルカの素肌に触れる。
「カカシさん……」
「ん……イルカ先生」
 二人で体を寄せ合って何度も口づける。このまま昨夜の続きをしてもいいと思っていると、イルカの足元でもぞもぞと何かが動いた。
 イルカはビックリして、咄嗟に足を引っ込めて固まった。見ると、忍犬たちはいつの間にか起きていて、二人のイチャつきぶりを目を輝かせて見ていた。
 イルカは赤くなってカカシから顔を離した。ところがカカシにはもう一度キスをされてしまった。
 手前に居た忍犬が布団を踏み越えて二人の側へと来て、イルカの手に頭を押しつけた。イルカが反射的に忍犬の頭を撫でると、他の子も寄って来る。
「カカシさん……いつ口寄せしたんですか? 俺が寝たあとですか?」
「あー。それがねぇ……」
 カカシは少し言葉を濁した。隠れてたみたい、とカカシは言った。
「えっ?」
「昨日、帰ったフリして部屋の中に隠れてたみたいで」
 つまり、彼らは一晩中この部屋に居たらしい。イルカとカカシが、この部屋のベッドで何度も求め合っている間中、ずっと。
「……へええ……全然気づきませんでした……流石カカシさんの忍犬ですね」
 イルカは震える声を絞り出した。顔が引きつる。
「……って、言うと思ってるんですか」
 イルカの低い声に忍犬たちは飛び上がって、即座に全員カカシの側へと逃げた。ベッドから下りて隠れてしまう子まで居た。
 カカシは流石に動じなかったが、心なしか身構えていた。
「イルカ先生……」
「カカシさん、知ってたでしょう」
「いやいや、昨夜は俺も夢中になってたし」
「……」
 イルカが静かに睨むと、カカシより忍犬の方が怯えて尻尾をまるめた。カカシがかわいそうな忍犬を抱いて宥める。
「イルカ先生……こいつらだって一緒に居たかっただけで、そういうつもりは……」
「わかってます」
 分かってはいたが、イルカはぷいと顔を背けた。
 カカシは手をつけられないと思ったのか黙っている。
 するとカカシの側に居た忍犬らが呟いた。
「イルカに嫌われた」
「カカシも嫌われちゃったの?」
「おれたちのせい?」
 忍犬たちはか細い声で鳴き始めて、イルカは自分が虐めているような気になって胸が痛んだ。
 背けていた顔を彼らに向けると、くりくりした目を潤ませて見上げてくる。
 忍犬である彼らは分かってやっているに違いないが、イルカはもう強く言うことができなかった。
「……嫌いになんかなってないよ」
 イルカは一番近くに居た忍犬に手を伸ばした。不安そうにしていた忍犬が、撫でられた途端にほっとした表情になる。温かい毛並みを撫でていると、イルカも自然と落ち着いた。
「カカシのことも?」
「……カカシさんのことも」
 イルカはそっとカカシに目を向けた。少し気まずい。でもカカシは気にしてないようで、何故か笑いを噛み殺していた。
「なに笑ってるんですか」
「ふふ……なんでも」
 カカシの側で様子を窺っていた忍犬たちはもう安全と判断したのか、少しずつイルカの方へと近寄って来る。
「もう怒ってない?」
 イルカの側に来た一匹が、イルカの膝に乗るか迷った様子で訊ねた。
「ん〜……そうだな。でも、カカシさんたち暫くウチに来るの禁止!」
 イルカがそう告げると、一斉に不満の声が上がった。カカシが一番文句があるようだ。
「えっ、俺も!? 俺はいいですよね?」
「連帯責任です。少しは反省してください」
「えぇー!」
「どうせカカシさんは忙しくてウチに来れないじゃないですか」
 そう言ったらカカシはすっかりしょげてしまい、崩れるようにベッドに横たわった。
「つらいからイルカ先生のベッドでもう少し寝る……」
 カカシは布団にくるまってしまった。頭まで布団に潜っている。忍犬たちがカカシの元に集まって、布団をつついたり、においを嗅いだり、布団に頭を突っ込もうとする。
 カカシを叩き起こして散歩に行こうとせっつくのかと思いきや、忍犬たちはベッドに次々と寝そべった。
「ぼくも寝る〜!」
「おれも!」
「わたしも!」
 イルカのベッドはまたあっという間に占領されてしまった。イルカの寝る場所はもう無くて、狭いベッドの有様を見てイルカは笑うしかなかった。

*
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