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日記です。 読み捨てて頂ければ幸い。

三倍にして~(3/15)

2022.03.27 (Sun) 10:00 Category : 小話

『三倍にして返してください』の3月15日です。短い。

*

「ナルト。一日遅れたけど、これホワイトデーの」
 カカシがそう言って、ナルトの目の前に手の平サイズのラッピング袋を差し出した。赤いリボンのついた透明な袋にクッキーが詰まっている。
 ナルトは目の前にぶら下げられたプレゼントを見て、ぽかんと口を開けていた。
「カカシ先生、くれるの? ありがと……でもオレ、カカシ先生にはあげてないってばよ?」
 ナルトが首を傾げながらも、貰えるならと取り敢えずプレゼントを受け取る。
 カカシもイルカ同様、バレンタインデーにチョコレートをあげるからホワイトデーに三倍にして返してほしいと謎の取引を持ち掛けられたが、その時は断っていた。チョコレートに限らず甘いお菓子は嫌いだったからだ。
「イルカ先生からひと口貰ったから。一応、お礼」
「ふーん? 欲しかったならあげたのに」
 ナルトは不思議そうな顔でそう言ってから、まあいいやとパッと笑った。プレゼントを手に、素直にありがとうと口にする。
「じゃあ来年はカカシ先生にもあげるから、ホワイトデーは三倍で……」
「いや、いらない」
 カカシは調子のいいナルトの言葉をぴしゃりと遮った。ナルトはちょっと不満そうな顔をしている。
「俺にはくれなくていいよ。イルカ先生が貰ったのをひと口貰うから。その分のお返しはしてやるよ」
「んー。まあいいけど」
 ナルトはちょっと納得がいかないようだったが、このあと用があるからとすぐに去って行った。
 二人のやりとりを横で見ていたイルカは、疑問に思ってカカシに訊ねた。
「俺、カカシさんにナルトから貰ったチョコあげましたっけ?」
 カカシはイルカに目を向けると、イルカに顔を近づけて耳元で囁いた。
「やだなあ。貰いましたよ? あの時、口移しで」
 ひと口と言うかひと舐めでしたけど、とカカシが笑う。イルカはカカシの言うあの時がどの時のことか分かって、一気に顔が熱くなった。
「来年もひと口くださいね。お返しはするってナルトに約束しちゃったし」
「ら、らいねん……」
「くれますよね?」
 カカシが返答を迫るように顔を近づける。イルカはあたふたとした返事しかできなかったが、カカシは満足そうだった。そして、ああ、俺もナルトのこと言えないなあと楽しそうに笑った。

*
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