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n - caramelizing

日記です。 読み捨てて頂ければ幸い。

出られない部屋/続き

2023.05.31 (Wed) 20:01 Category : 小話

出られない部屋の続きです。先生が一人でしたりしてます。おとなむけ。



*

 イルカは、なんとなく見覚えはあるが馴染みのない部屋で目を覚ました。大きくてふかふかのベッドに一人で横になっている。軽くて肌触りの良いふとんが体に掛けられていて――イルカは自分が裸であることに気づいた。
 下着すら身に着けておらず、身じろぎして寝返りをうつとシーツに素肌が擦れる。イルカは徐ろにふとんにくるまって、もじもじと膝をこすり合わせた。体の芯がぼんやりと熱い。少し熱っぽい体には快感が残っていて、シーツが肌に擦れるだけでそれが呼び起こされた。ただ裸で寝ているだけなのになんだかヘンな気分になる。
 イルカはそれで自分の体の有り様を理解し、この部屋のこのベッドで、誰とナニをしたかもうっすら思い出した。
 はっきりとは覚えていないが、なんとなく内容を覚えている夢ぐらいには記憶に残っていた。それに、たとえ覚えていなくてもイルカの体が如実に物語っている。
 イルカは体を横に向けてふとんにくるまりながら、自分の股間へと右手を動かした。下腹部に触れ、指先で陰毛を撫でる。そしてそこから生えている、太く生々しい陰茎を指でなぞり、愛撫しながらやさしく握った。
 イルカは自分自身に触れながら、カカシのことを考えていた。カカシの体温や手のひら、声や息遣いを思い出しながら、カカシとの行為の熱が残っている陰茎を撫でる。イルカは自身の太い竿だけでなく、その根本にぶら下がるやわらかい袋も指先で揉んだ。
「んっ……」
 イルカはベッドの中でひとりで興奮し、カカシのことを想いながら身悶えた。握っている手の中に、じわじわと熱が集まってくる。はっきりとした快感を得るような刺激は無くても、イルカの体は恥ずかしいほど興奮していた。
「はあ……」
 股の間で右手を緩く動かしながら、イルカは切なくなった。頭の中にいるカカシが焦らしてくる。
「あ……カカシさん……」
 カカシなら、どんなふうに触るだろうか……イルカは自分自身を撫でながら、カカシの手を想像した。指先を動かす。
 それまで撫でるだけだった竿を強く握ろうとした時、頭のすぐ側で犬がわんっと鳴いた。
 イルカは吃驚して、自分の陰茎を握ったまま固まった。恐る恐る目を向けると枕元にカカシの忍犬が居て、イルカの頭に鼻先を擦りつけながら尻尾を振っていた。
「イルカ、起きた? ねえねえ、あそぼ?」
 耳の垂れた忍犬が、くりくりした目でイルカの顔を覗き込む。イルカは忍犬の顔を見ながら真っ赤になった。ふとんの中で自分の陰茎を握りしめている。
 ふとんにくるまっていたお陰で、忍犬には行為の一部始終は見られていなかった。イルカは忍犬に見られなくて良かったと思うと同時に、相手が忍犬で良かったとも思った。もしカカシに見られていたら、言い訳も出来ないし目も当てられない。
 イルカはベッドにうつ伏せになり、どうにか自分の気持ちと体の興奮を押さえ込んでから体を起こした。すると、側に居た忍犬がイルカに飛びついた。
 イルカは咄嗟に忍犬を抱き留めてから、慌てて枕元を見てティッシュ箱を探した。急いで手は拭ったものの、いつものように無遠慮に撫でるのは憚られた。
 忍犬はそんなこと気にもせずにイルカの膝の上で尻尾を振って喜んでいる。忍犬が撫でろと詰め寄ってくるので、イルカは使っていない左手で忍犬を撫でてやった。
「カカシさん、どこ行ったか知ってる?」
 きっと仕事に戻ったのだろう。案の定忍犬は「カカシは仕事するって下に行った」と答えた。つまり、この部屋は火影室の上の階にある火影の寝室、ということになる。
 イルカは、ちゃんとこの部屋の中に入ったのは初めてだった。もちろん、火影の寝室で裸で寝たのも初めてだし、このベッドであんなことをしたのも初めてだった。
 イルカはいろんなことを思い出して後悔し、抱きしめた忍犬の背中に顔を伏せて長い溜め息を吐いた。
 やってしまった――と思った。カカシにも迷惑を掛けたし、なにより真っ昼間から火影室とも近い火影の私室で、我を忘れて激しく求め合ってしまった。しかも体にはその時の快感がまだ残っていた。もっとしたいとさえ思っている。
 イルカは自己嫌悪に陥ったが、機嫌のいい忍犬の尻尾に頭を叩かれて顔を上げた。遊びたくて仕方のない忍犬を見ていたら、イルカは落ち込んでいるのが馬鹿らしくなって笑った。
「ふふっ……少し遊ぼうか?」
 イルカがそう言うと、忍犬はパッとイルカの顔を見て尻尾を振り回した。
「ちょっと待っててくれるか?」
 イルカはベッドから出て、床に脱ぎ捨ててあった服を拾った。下着とシャツとズボンをとりあえず持って、部屋の扉へと向かう。すぐに忍犬が追って来て、イルカの足首を軽く噛んだ。
「いてっ!?」
「どこいくの! ここにいなきゃダメ!」
 忍犬がイルカの足下で吠えた。イルカは手に持った服で股間を隠しながら振り向き、忍犬に目を向けた。忍犬は体を低くして唸っている。
「シャワー浴びてくるだけだよ」
「ダメ! カカシが戻って来るまでこの部屋にいろって言ってた!」
 忍犬がイルカを引き止める。カカシからそうしろと言いつけられているのだろう。
「シャワー浴びたら戻って来るから」
「ダメ!」
 忍犬は頑なだった。しかしイルカもこのままでは困る。せめてシャワーは浴びたい。
 イルカは忍犬の前にしゃがんだ。
「シャワー浴びたら遊ぼうよ」
「あそっ……ダメ!」
 忍犬は咄嗟にそう答えたが、尻尾は素直に動いている。可愛くてイルカはこっそり笑った。
「散歩行きたくない?」
「行く! あう……でも……」
「カカシさんの所へ行って話してあげるから。そしたら一緒に散歩に行って、そのあとウチでおやつ食べよう」
 イルカが提案すると忍犬は葛藤するようにその場でぐるぐる回った。目が回らないのかなと思ってイルカが見ていると、二十回は回ったところで忍犬はピタリと止まってイルカを見上げた。ふりふりと尻尾を振っている。
「わかった」
「じゃあシャワー浴びて来ていい?」
「うん」
 忍犬の許可が出たので、イルカは部屋のドアを開けた。廊下が続いている。この階は火影の住居になっているのでキッチンもバスルームも揃っているはずだが、どこにあるのかイルカは知らなかった。この階にはほとんど初めて来たのだ。
 イルカは忍犬を振り返った。
「お風呂どこか知ってる?」
「こっち!」
 忍犬が足下を通り抜けて廊下に出る。イルカは忍犬の後を追って、階段とは反対の方向へ向かった。
 忍犬はひとつの扉の前でお座りして待っていた。そこがバスルームらしい。
 ドアを開けると脱衣場になっていて、忍犬も部屋の中に入った。裸のままやって来たイルカは、脱衣場に持って来た服を置いて、浴室のドアパネルを開けた。少し狭い洗い場と、ゆったりと入れそうな浴槽がある。
 脱衣場までついて来た忍犬は、浴室までは入って来ようとはしなかった。きっと風呂が嫌いなのだろう。イルカは「待ってて」と伝えて、浴室のドアパネルを閉めた。ドアパネルはすりガラス風になっていて、脱衣場で大人しく待つ忍犬の影が映っていた。
 イルカは締め切った浴室に一人になって少しほっとした。中途半端に体に残っている興奮を早くどうにかしたかったのだ。
 イルカは遠慮なく自分の陰茎を握って強く扱いた。手の中のものはすぐに固くなり、そう時間は掛からずに薄い精液を吐き出した。カカシと散々した所為か、出るものは僅かしか無かった。
 ひとまず気は済んだものの物足りなくて、シャワーを浴びながら股間ばかり触った。濡れている竿を焦らすように撫でる。カカシに触ってもらいたいと考え始めると、胸も体も堪らなく切なくなった。
 右手で股間をいじりながら、左手で体の他の部分を触ってゆく。腹や胸を撫で、乳首を少しだけ擦り、カカシのことを考えているうちに口の中にも欲しくなって、口内に指を入れた。自分の人差し指と中指を舐め、舌を這わせる。指は指で口内を探った。
「あっ……はぁ……」
 イルカは一人で興奮しながら、後ろにも欲しいと思った。左右の手は塞がってて、一人では手が足りない。カカシだったら全部触ってくれるのに……
「カカシさん……」
 イルカは思わず切ない声を上げてしまった。一瞬の間を置いて、浴室のドアがガタンと音を立てた。一人で夢中になっていたイルカはビクッと体を震わせて、咄嗟に浴室の入口に目を向ける。誰か入って来るのかと思ったが、すりガラス風のドアはしっかり閉まっていた。
 ただ、ドアの向こうでは、すりガラス風のドアパネルに忍犬が鼻を押しつけて覗こうとしていた。イルカの声が聞こえて自分が呼ばれたと思ったのだろう。
 イルカはドア越しにうっすら見えている忍犬の姿を見て、思わず笑った。
「ふはっ……すぐ出るからもう少し待ってて」
 イルカは右手を動かして手早く済ませると、シャワーで全身を流してから浴室を出た。ドアパネルの前で待っていた忍犬がすぐに寄って来て、イルカを見上げて尻尾を振った。
 体を拭いて服を身に着け、髪を乾かして身形を整える。イルカは最後に鏡を見て、よしと思った。媚薬を飲んで淫らになっている自分も、自慰行為に耽けるふしだらな自分も、鏡には映っていない。
「おまたせ。行こう」
 イルカは忍犬を抱き抱えて、階下にある火影室へと向かった。




 階段を下りて行くと廊下は静かだった。こそこそと火影室の前まで行き、扉に耳を近づけて部屋の中の様子を伺ってから控えめに扉を叩く。
 イルカは室内からの返事を待っていたが、その前に部屋の扉が静かに開いた。扉の隙間から怪訝そうな顔をしたカカシの姿が見える。
 カカシはすぐにイルカを部屋の中に引っ張り入れた。音を立てないように扉を閉める。
「イルカ先生……出歩いて平気なの?」
「はい。もう大丈夫そうです。……迷惑を掛けてしまってすみませんでした。それから、ありがとうございます」
 イルカはしおらしく答えた。媚薬で目も当てられない有り様になった自分の為に、カカシを付き合わせてしまった。恐らく昼休憩の時間いっぱい、もしくはそれ以上、火影であるカカシの貴重な時間を使わせてしまったはずだ。
 だからイルカは自分の軽率な行動も含めて反省していたが、同時に嬉しくも思っていた。カカシが火影になってから二人で過ごす時間は減ってしまい、以前のように思うまま満足いくまで――それこそ貪るように激しく抱き合うことは無くなってしまった。
 それが、今日はたくさんしてしまった。媚薬の所為もあるとは言え、イルカからたくさん求め、カカシはそれに応えてくれた。した後の後悔もあったが、それ以上にカカシと思う存分体を繋げられたことの嬉しさがあった。
「悪いのはこっちだから……巻き込んじゃってごめん。イタズラの張本人殴ってく?」
「いえ……暗部ですよね? 遠慮しときます」
 イルカはもちろん迷惑を被ったと思っていたが、暗部相手では『運が悪かった』で済ませる方が懸命だった。里の忍者の大多数が同じように思うだろう。イルカが手を出して、あとからもっと酷い目に遭っても困る。カカシが居てそんな事になるとも思えないが、今回火影と居てこんなことになったのだから過信はできない。
 それに、運は悪かったけど、悪い日にはならなかった。
 イルカはすぐ目の前に居るカカシに更に一歩近づいて、耳元にこそりと囁いた。
「久しぶりにカカシさんといっぱいできたから嬉しかったです」
 イルカが言ってから照れて笑うと、カカシがイルカの腰に両手を回して抱き寄せた。声を上げる間も無くお互いの顔が近づく。イルカはそこが火影室であることを忘れて、唇が触れ合う瞬間を息を潜めて待った。
 ところがイルカが抱き抱えていた忍犬が急にもぞもぞと動いて、いきなり二人の顔の間に鼻先を差し込んだ。忍犬の生温かい舌が二人の顔を舐める。
「んふっ……くすぐったい!」
 イルカは堪らず笑いながら後ろに仰け反った。忍犬がイルカの顔を舐め続けている。カカシとイチャイチャしてないで早く散歩に行こうと訴えているようだった。
 カカシはキスを邪魔されて少し残念そうな顔はしていたが、別に怒るでもなく、じゃれ合うイルカと忍犬を見ていた。
 イルカは忍犬をなんとか宥めて、カカシに向き直った。
「カカシさん。俺、家に帰ります……上の部屋だと落ち着かないので」
「うん。わかった。一人で平気?」
 カカシはイルカの頬を指先で撫でた。イルカは途端に顔が熱くなった。折角落ち着いたのに、また体が熱くなっていくような気がした。
「はっ、はいっ……! あ、でも、この子借りていっていいですか? 一緒に遊ぶ約束をしたので……」
 イルカは忍犬をぎゅっと抱きしめながらカカシに尋ねた。体が熱くなっていることを知られたら、帰っちゃ駄目と言われると思ったのだ。またあの部屋に戻ったら、淫らなことばかり考えてしまいそうだった。
 カカシはイルカの様子をじろじろ観察していたが、良いよと答えて忍犬の頭を撫でた。
「イルカ先生のこと頼むね」
「わかった」
 忍犬が尻尾を振って素直に答える。
 忍犬が撫でられているのを羨ましく思って見ていると、カカシはイルカにはキスをくれた。カカシはマスクをしたままで、マスクで隠れた唇は軽く触れただけで離れていく。
「気をつけてね。あんまり寄り道しちゃ駄目だよ」
「はい……」
 カカシはイルカを扉へと促した。イルカは一度は扉に足を向けたが、すぐにカカシの方を振り向いた。カカシが不思議そうにイルカを見ている。
「カカシさん。あの……今日、待っててもいいですよね?」
 昼の時点ではそういう約束だったが、流石にこうなってはカカシの予定も変わってしまったかも知れない。あんなに濃厚な二人きりの時間を過ごしたんだから夜は我慢しろと言われるかも知れない。イルカが良い返事が返って来ないことも覚悟しておずおず訊ねると、カカシは目を細めて穏やかな笑顔を見せた。
「今日は早く帰るよ。約束したでしょ」
 カカシがイルカの腰に手を添えて体を近づける。
「それまで家で待ってて」
 低い声で耳元で囁かれて、イルカは自分でも驚くほど顔が熱くなった。どきどきして、顔だけに収まらず体まで熱くなる。
 カカシはイルカを抱き寄せながら耳元に口づけ、頬をすり寄せた。やわらかい唇の感触が熱を持った肌に触れる。今度はすぐに離れずに、イルカは自分の熱に負けそうになりながら息を潜めた。
 忍犬は居心地が悪そうにもぞもぞ動くと、イルカの腕から抜け出して行った。

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