n - caramelizing
日記です。
読み捨てて頂ければ幸い。
トリック・オア・トリート!
2025.11.03 (Mon) 19:57 | Category : 小話
ハロウィン!間に合いませんでした。
2025/11/2
2025/11/2
見知った姿が見えた気がして、カカシは顔に着けた面を頭の上へずらした。繁った木の葉に隠れるように樹の上で休んでいたカカシは、首を傾けて眼下を覗き込んだ。
樹の下を、羽織ったケープを翻しながら少年が通っていく。頭の後ろで結んだ茶色い髪が、ピョコピョコ揺れていた。すぐにイルカだと分かった。
カカシは樹の上から声をかけた。
気づいたイルカは立ち止まって、きょろきょろと辺りを見回す。カカシがもう一度声を掛けると、イルカは樹の上を見上げてパッと笑顔になった。
「カカシ!」
カカシは身軽に樹の上からイルカの前に降り立った。すぐにイルカは、不思議な呪文を楽しそうに口にした。
「トリックオアトリート!」
「……?」
「トリック、オア、トリート! お菓子ちょうだい!」
よく分からず突っ立っているカカシに、イルカが焦れったそうにもう一回言った。
「なにそれ? お菓子なんか持ってないよ」
カカシがつれない返答をすると、イルカは呆れたように今日が何の日か教えてくれた。子どもは仮装してお菓子を貰いに行くらしい。
よく見ると、イルカもいつもと違う格好をしていた。ケープの下は半ズボンをサスペンダーで吊っていて、腰の後ろにふわふわの尻尾を下げている。
更に、イルカは首に掛けていたカチューシャを頭に着けてみせた。ふわふわの犬耳カチューシャだった。
「かわいい犬」
「お、お、か、み!」
むきになって答えるイルカに、カカシは珍しく明るく笑った。むきになるイルカはキャンキャン吠えてる子犬みたいで、イタズラされても怖くない。
「お菓子ないからイタズラしていいよ」
「も〜! そうじゃなくって!」
笑われるしお菓子は貰えないしで、イルカは拗ねてしまった。お菓子が貰えると思っていたらしい。
「おまえ、今年でアカデミー卒業だろ」
「今年で最後だから楽しむんじゃん!」
カカシの呆れた言い方にイルカは一層むっとしたが、やがてカカシの顔をじっと見つめてイタズラっ子らしくニッと笑った。
お菓子が貰えないからイタズラを決めたらしい。
「じゃあ、カカシはオレの手下ね! いっしょに来て! お菓子もらいに行こう!」
「は? オレも? やだよ」
カカシは暗部の制服を着ていた。外套はあるが、あまりこの格好で町中を歩きたくない。
「大丈夫だって! その格好なら仮装だって思われるよ!」
イルカはカカシの髪に手を伸ばして、頭の上によけていた暗部の面を、勝手にカカシの顔に着けた。
面に空いた目の穴の向こうでイルカが笑っている。面のせいで視界が狭まって、カカシは少し不満だった。
「行こう!」
イルカはカカシの手を握って勢いよく駆け出した。繋いだ手のひらから、イルカのうきうきした気持ちが伝わってくる。
カカシは手を引かれるまま、大人しくついて行った。視界の端で、イルカの尻尾が揺れていた。
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