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日記です。
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おジャマむし(つづき)
2026.07.29 (Wed) 14:57 | Category : 小話
忍犬にジャマされたカカイルの翌朝
*
翌朝、イルカは忍犬たちに遠慮なく踏まれて目を覚ました。
なだれ込むようにやって来た彼らは、イルカの横で気持ちよさそうに寝ていた仲間をベッドから引きずり下ろし、たった一匹を逃さないように固まって並んだ。
イルカは踏みつけられた脇腹をさすりながら体を起こすと、足元に丸まっていた寝間着のシャツを羽織り、ベッドの横におすわりしている忍犬たちを眺めた。
彼らの体はイルカの方を向いてはいるものの、みな真ん中で縮こまっている一匹を睨んでいる。
「……おはよう。みんな、どうしたんだ?」
イルカが声を掛けると、イルカと一晩を共にした子の横で、別の子が言った。
「ふたりのジャマしてゴメンナサイ!」
「えっ」
「ほら、おまえも謝れよ」
「ゴ、ゴメンナサイ……」
さっきまでベッドで一緒に寝ていた子は、仲間に突っつかれて、しょんぼりと項垂れながらそう言った。
イルカは少し驚いた。アカデミーでもよく見る光景だった。忍犬にも社会というものがあるらしい。
カカシはイルカの後ろで、横になったまま様子を見ている。口を出す気は無いようだ。
イルカは忍犬たちに向き直って答えた。
「そんなの気にしなくていいよ。昨夜は眠れなかっただけだろ?」
気落ちしていた子は顔を上げてしっぽを緩く振った。表情が明るい。しかし、ほかの仲間たちは納得しなかったようだ。
「でも」
「ジャマはダメ」
「ずるい」
忍犬たちが口々に言う。ずるい、と聞いてイルカは思わず笑ってしまった。
確かにずるかったかもしれない、とイルカは思った。もともと夕べは、イルカが“彼らのカカシ”を独り占めしていたからだ。
「じゃあ、今日の夜はみんなでいっしょに寝よう」
すると、忍犬たちの顔が一斉にイルカに向いた。目の輝きは犬それぞれだったが、どの尻尾も嬉しそうに振られている。
イルカは、そんな彼らを見て表情を緩めた。
その時、後ろからカカシに抱きつかれた。カカシは背中にぴったりくっついて、イルカの肩に顎を乗せる。
「ここで、みんなでいっしょには寝られないでしょ」
イルカの家のベッドは、お世辞にも広いとは言えなかった。そもそもシングルサイズなので、二人で寝るのがやっとだ。そこへ忍犬八頭は乗り切らない。
「床で……」
「風邪引くよ」
「でもカカシさん、忍犬たちがいれば温かいって言ってましたよね」
前に、忍犬たちがいれば雪山の任務でも寒さは凌げるとカカシは話していた。家の中なら風邪を引く心配もないだろう。
「言ったけど……」
さりげなくシャツの下に回されたカカシの腕に、力がこもる。カカシは鼻を擦り寄せるように、イルカの肩に顔を伏せた。
イルカはくすぐったく思いながら、わずかに顔を向けた。カカシの銀髪が頬に触れる。
「……俺ばっかり、あなたを独り占めできないでしょう?」
イルカがささやくと、カカシはそっと顔を上げた。深い色の目が、恨みがましくイルカを見つめる。
そして顔を近づけたかと思うと、なにも言わずにイルカの唇に吸いついた。
忍犬たちの視線が集まる中、互いの舌が触れ合う。
「んは……っ、カカシさん」
イルカが幾らか非難を込めて名前を呼ぶと、カカシはもう一度唇を重ねた。
「俺は、イルカ先生を独り占めしたいよ」
カカシが恥ずかしげもなく言う。イルカは照れてしまい、すぐに言葉が出なかった。
「それは……」
「イルカ先生は?」
「んん……」
カカシは答えを求めておきながら、イルカの口をキスで塞いだ。絡みつくような舌に気を取られている隙に、カカシの手のひらがイルカの素肌を撫でていく。
イルカは心地よさに堪らず目をつむった。すっかり流されそうになったその時、忍犬の鼻息が聞こえた。
「——ダメですってば!」
イルカは咄嗟に、カカシを押し留めた。忍犬たちが見ているのに――ところが顔を向けると、さっきまでそこに居たはずの忍犬たちはどこにもいなかった。
忍犬たちの姿を探している隙に、カカシに押し倒される。
「わ、カカシさん」
「イルカ先生。夜まで独り占めしていい?」
カカシが、どこか熱っぽい目でイルカを見下ろしている。おやつを目の前に置かれた犬みたいだと思った。
「だめ?」
カカシが返事を催促する。
夜まで……。その言葉とカカシの目に、自然と昨夜のことを思い出した。
応えたいとは思っているのに、すぐに返事は出てこない。
「お……お昼までなら」
イルカはくぐもった声で答えてから、恥ずかしくなって目を背けた。しわくちゃのシーツが目に入る。その向こうに、なんとも機嫌の良さそうな忍犬たちの尻尾の先が見えていた。
*
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